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知財談話

「知財談話」コーナーでは、当所のお客様や知財関係者をゲストにお迎えし、最新の知財情報や現場の声をお伝えしていきます。

第1回ゲスト: 株式会社ペルル・ボーテ 代表取締役 池田珠美様

1回目のゲストは、株式会社ペルル・ボーテ代表取締役 池田珠美さんです。池田さんは本日、社名を商標登録申請されました。(現在、申請内容が特許庁ホームページ内で公開されています。)

社名に込めた想い

木戸

池田さんとの出会いは、明治大学リバティ・アカデミーの起業セミナーでしたね。私は開業に役立つ知識を学びたかったことと、開業後のお客様として想定した中小・ベンチャー企業の社長の考え方を知りたくて参加したのですが、池田さんはどのような動機で参加されたのですか?

池田

副業でお茶の輸入販売をやりたいと思って参加したのです。木戸さんから起業するなら社名を商標登録した方がいいと言われ、商標について関心を持ち始めました。

木戸

相談いただいたのは去年(2006年)9月でしたね。

池田

お茶の輸入販売と当時担当していた仕事で起業することにしたところ、木戸さんに言われた商標のことが気になって相談したのです。

木戸

社名を「ペルル・ボーテ」と決められていたので、すぐに同じ名前や似たような名前が商標登録されていないか調査しました。すると、お茶の輸入販売に関係する商品には「ペルル+○○○」や「ボーテ+○○○」といった登録があることが分かりました。それで、早いうちに申請しなければ他人に社名を取られてしまう可能性があると考えました。

池田

社名の由来はフランス語で「真珠」「美」、私の名前なのです。ですから、別の社名にすることは考えられなかったし、他人に社名を取られたくもありませんでした。でも、これから起業するところで予算に余裕がなく、申請は無理だと思いました。

木戸

そこで、申請に優先順位をつけ、お茶の輸入販売から申請することをアドバイスしました。

池田

会社の成長に合わせて申請していけばいいと言われ、これなら私にでもできると思いました。社名を取られるかもしれないと不安な気持ちで起業したくありませんでしたから。

木戸

起業後に社名を変えると、お客様が別の会社だと思うので常連客を失うリスクがあります。また、ホームページやパッケージを作り直すとなると、その費用もばかになりません。そこで、起業に先だって申請されることをアドバイスしました。

池田

木戸さんにリスクを説明してもらったことで、申請が起業時にやらなければならない大切な事だと知りました。

商標は会社を守る盾

* 商標とは、社名や商品名など営業において使用する表示のことで、ブランドとも言われます。

木戸

商標登録すると儲かると誤解されている方がいらっしゃいますが、商標登録しても儲かるわけではありません。商標登録の目的は、ブランドに関するリスクを予見し、最小化するといったリスク管理のためです。

池田

ブランドを変えると常連客を失うリスクがありましたね。それと、ブランドを作り直すための出費もありましたね。

木戸

そうですね。社長の分身ともいえるブランドが使えなくなれば、今までの苦労が水の泡になってしまいますからね。

池田

でも、ブランドに関心を持っている社長は少ないように思うのですが、なぜかしら。

木戸

社長は守りよりも攻めを好むので、トラブルが起こらない限り守りに関心を持たれることはないですからね。特に起業時にはブランドが無名なのでトラブルとも無縁ですから、なおさらですね。でも、自社の売り込みに躍起になっているときこそ、ブランドを安心し使えるように守りを固めるべきだと私は考えます。

事業計画を裏付ける商標

木戸

商標は、資金や設備と同様に事業計画の裏付けになります。反対に、予定している事業に他社が自社ブランドと類似する登録商標を持っていれば、その事業では自社ブランドが使えないために事業計画の妨げになります。そこで、事業計画の裏付けとなるように指定役務を定めることをアドバイスしました。

池田

まずは中国茶の輸入販売を始めます。そして近いうちに韓国茶や紅茶へと種類を増やし、茶器も扱いたいと思っています。ですので、指定役務には会社の未来予想図を描いたのです。

木戸

中小・ベンチャー企業にとっては、他社の模倣を防ぐよりも、自社の営業を守ることが優先されます。そこで、指定役務として中国茶や韓国茶のように具体的な品目を定めることをアドバイスしました。 お茶についていろいろ調べたので詳しくなりましたよ。韓国茶は茶葉を使わないんですよ。そこで、指定役務として韓国茶を明記し、韓国茶が茶に含まれるかの争いが起こらないようにしました。争いを防ぐことこそ、商標の役目ですからね。

弁理士は社長のよき相談相手

池田

社長になってわかったことなのですが、社長って孤独というか、相談する相手がいないのです。最後は自分で決めないといけないので不安ですね。木戸さんに何をやるべきかをわかりやすくアドバイスしてもらうことで不安がなくなり、本業に専念できるようになりました。

木戸

私は社長のよき相談相手になりたいと思っているので、 池田さんの不安を解消できたことを嬉しく思います。

早めの対策が肝心

池田

申請してから登録までに1年近くかかるのですね。長いですね。

木戸

登録までに時間がかかるのはデメリットです。特に中小・ベンチャー企業では、登録までに会社が潰れてしまった、なんてこともありますからね。登録までに時間がかかる以上、早めに申請するしかありません。

池田

ブランドを使い始めてから申請するのではなく、計画のときに申請すればいいのですね。新たな事業を計画したら、すぐに相談しますね。

木戸

早めの相談をお願いしますね。 申請後2カ月ほどで申請内容が特許庁ホームページ(特許電子図書館)に公開されます※1。公開されれば会社の宣伝になり、社会的な信用も高まります。今回のように会社設当初に申請したことは、ブランドに関心の高い会社であることをアピールし、会社の成長にもプラスになると思いますよ。

池田

ブランドの不安がなくなったので本業に専念できます。これから会社を大きく育てていこうと思っています。

木戸

会社の成長を楽しみにしています。

※1 株式会社ペルル・ボーテの申請内容は2007年5月31日に公開されました。

知財談話 株式会社ペルル・ボーテ 池田珠美様

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